成果もモチベーションもパっとしなかった僕が、「がむしゃらな3ヵ月」を経て歩く速度と売上が上がった話
2022年に年間MVPを獲得した、新卒入社6年目の太田さん。しかし、新卒で入社してから数年間は思うように成果が出せず、仕事を楽しいと思えなかったそうです。そんな太田さんが変わるきっかけになった「がむしゃらな3ヵ月」とはなんなのか。話を聞いてみました。
新卒入社して3年間、ずっと仕事を楽しいと思えなかった
――まずはMVPの受賞、おめでとうございます!
太田 ありがとうございます。まさかこんな僕がMVPを受賞できるなんて、少し前までは想像もできませんでした。
――えっ、そうなんですか?
太田 はい。新卒で入社してから3年くらいは、ずっと仕事が楽しいと思えなかったんです。セールスとしての成果も、まったくダメなわけでないけれどほめられるほどでもないくらいの、中途半端な状態がしばらく続いていました。
ベクトルが内に向いて、自分のことしか考えていなかった
――MVP受賞の秘訣を聞こうと思っていたのに、いきなり意外な展開です。仕事を楽しめなかったのはなぜでしょうか?
太田 いまふりかえると、当時の僕は自分のことばかり考えてしまっていました。「仕事がデキる大人になりたい」とか、「デキるヤツだと思われたい」とか。
――「デキる大人になりたい」と思うのは悪いことではないと思いますが。
太田 確かにそうなんですが、僕の場合はベクトルが内に向きすぎていたんですよね。「社内表彰されてインタビューを受けたい」とか、今思い出せば恥ずかしいことも考えていました。
そんなモチベーションだったからか、お客さまへの提案も画一的で最低限のものになってしまって、セールスという仕事そのものも楽しめなかったんです。
商談は本来、お客さまの課題解決につながる提案をするべきだと思うのですが、当時の自分はただ説明する・ただ質問に答えるだけの作業になってしまっていたというか。
そんな状態が3年ほど続きました。当然、思うような成果は出ません。でも厄介なことに、「仕事がデキる大人になりたい」「デキるヤツだと思われたい」という気持ちは変わらなかったんです。そこをあきらめることはできなかった。
――なるほど…。
太田 成果を出せてないのに「デキるヤツだと思われたい」という気持ちだけ残っているものだから、そのときはとてもつらかったです。
デキるようになりたい。俺はもっとデキるはずだ…でも現実では成果がついてこない……そんな理想と現実のギャップが受け入れられず、ストレスで深酒をしてしまうこともよくありました。
仕事の効率も悪くて、ダラダラと残業もしてしまっていて。こうしてふりかえるとほんとにダメダメでしたね。
「デキる大人になりたい」気持ちをあきらめられず、マネージャーに相談した
――そんなにつらい時期があったんですね。でも今は、仕事を楽しめているように見えます。何か転機はあったのでしょうか?
太田 「デキる大人になりたい」がどうしてもあきらめきれなくて、当時のマネージャーに相談しました。
「もっと仕事ができるようになって、チームに貢献したいんです。このままだとダメなのはわかっているけど、どうしたらいいかわかりません。いっしょに考えてください」って。
これもいまふりかえると、やばいというかめちゃくちゃな相談ですよね。
――そんな、素直で率直な相談をもちかけられるのはすごいと思います。
太田 それほど、当時は追い詰められていたんだと思います。
そんな僕の相談に、マネージャーは真剣に向き合ってくれました。どうすれば成果を出せるのか、どうすれば仕事を楽しいと思えるのか。太田のモチベーションはどこにあるのか、と。
社長から言われた「このままでいいのか」の一言でやるしかないと火がついた
太田 そうしていろいろ考えていたときに、ソーシャルPLUSの新しいセールス手法を行うプロジェクトが持ち上がりました。
そのとき、フィードフォース社長の塚田さんが僕の背中を押してくれたんです。
新プロジェクトを誰が担当するかを決めるとき、この期に及んでモゴモゴと煮え切らない僕がいました。そんな僕に対して塚田さんが、「一誓、このままで本当にいいのか。このままだと何も成さないまま終わるぞ」と発破をかけてくれたんです。
その一言で、やるしかないと火がつきました。「このプロジェクトでダメだったら今後何をやってもうまくいかない」と、背水の陣でプロジェクトに立候補しました。
「無」になるほどやり切った3ヵ月。それでも成果は出なかった
太田 新プロジェクトを担当した3ヵ月は、「もう後がない」と思ってとにかくがむしゃらに取り組みました。朝起きたらすぐにその日提案する内容を整理し、移動中も頭の中で翌日の行動計画を立てる。心なしか、歩く速度も速くなりました。
いまはこうして冷静にふりかえれていますが、当時はとにかく必死で、1日1日が一瞬で過ぎていきました。
当時の感情は「無」でしたね。なにか余計なことを考えたり思ったりする余裕がありませんでした。それでもプレッシャーは感じていたのか、仕事の夢を何度もみたことを覚えています。
――そんなにがむしゃらに取り組んだんですね。プロジェクトの結果はどうだったんですか?
太田 見事成果を出せました!……と言えたらカッコいいのかもしれませんが、結果だけみるとまったくダメでした。期待していた成果は出ず、プロジェクトは打ち切りとなりました。
――えっ。
太田 自分なりにがむしゃらにやったんですが、ダメでした。売上への貢献という意味での成果はほぼゼロで、プロジェクト終了後は元の仕事に戻りました。
「無の3ヵ月」を経て、ニュー太田に生まれ変わった
――正直、そこまでがんばったのなら成果が出たものだと思って聞いていました……。
太田 ただ、そのプロジェクトに取り組む前と後では、仕事への姿勢が大きく変わりました。言ってしまえば「ニュー太田」に生まれ変わりましたね。
――「ニュー太田」に……具体的にはどう変わったんですか?
太田 まず、お客さまへの向き合い方が変わりました。これまで「作業」としか思えなかった営業が、「お客さまの課題を解決したい」と思うようになったんです。
営業を「作業」としか思えなかったのは、お客さまにほんとうの意味で向き合っていなかったからなんですよね。
お客さまに真剣に向き合って、真の課題をお聞きしてそれに合わせた提案をする。それができれば信頼関係も築けますし、作業感はなくなって営業自体が楽しくなりました。
――なぜ意識が変わったんでしょうか?
太田 先ほど話したプロジェクトで、がむしゃらに本気で取り組んだからです。いまふりかえると、それまでは真剣に仕事に向き合ってこなかったんだと思います。
初めて真剣に、本気で仕事に向き合ってみると、それまで思っていた「デキるやつだと思われたい」みたいなことを考える余裕がなくなったんです。それどころじゃないというか。
先ほど話した、お客さまの課題に向き合って提案する楽しさを感じたこともあって、気づけば「デキる大人になりたい」という内向きのベクトルが、「お客さまの課題を解決したい」と外向きに変わっていました。
――それまでと180度意識が変わっていますね!
太田 そうなんです。プロジェクトで成果は残せませんでしたが、意識が変わりリニューアルされた、ニュー太田は残りました。
成果が出るようになったのは周囲の助けのおかげ
太田 ニュー太田になってからは、仕事が楽しく感じられました。僕が良い提案をすることでお客さまの課題解決に役立てるんだ、と実感できるようになったんです。
そうすると営業成績も良くなって、MVPを獲得できました。
――仕事を楽しめるようになるまで、そんな経緯があったんですね。改めて、MVP獲得の秘訣はなんでしょうか?
太田 やはり、「がむしゃらな3ヶ月」を経て、「顧客目線」で考える習慣をもてたのがポイントだと思います。
お客さまの要望を引き出し、それをどう実現できるかを考えて提案する。それを繰り返して、地力が少しずつついてきたように感じます。
あと言葉にすると月並みなんですが、結局のところ周囲のみんなに支えられた結果というか、その延長線上に今回のMVP受賞があったと思います。
先ほど話したとおり、リニューアル前の太田はほんとうにダメダメでした。そんな僕の変な相談を真剣に受け止めてくれた当時のマネージャー、見捨てず発破をかけてくれた塚田さん、仕事のイロハを教えてくれたソーシャルPLUS社長の岡田さん、いつも刺激をくれるチームメンバーと、ほんとうにいろいろな人に支えられて今があります。
仕事を楽しめないときでも腐らずつづけたことで、たまたまそうやって周囲の方が支えてくれて、今はこうして楽しく仕事ができているので、ほんとうに運が良いなあと思います。
編集後記
インタビュー前、「僕の話を聞いてもいい話になりませんよ」と言っていた太田さん。いざ話を聞いてみたらものすごくいい話でした。
MVP獲得の秘訣を、太田さんは「運が良かった」と締めくくっていますが、実際には「マネージャーへの率直な相談」「プロジェクトへのがむしゃらな取り組み」などの主体的な行動があってこその「運」なのだと思います。