若手社員の失敗、どこまで許せる?取締役に聞いてみました
「挑戦はしたいけど失敗したあとを想像するとこわい」そう感じたことはありませんか?挑戦には失敗がつきものですので、それは自然な感覚だと思います。
誰だって、失敗したことで評価が下がったり責められてしまうのはイヤですよね。実際、当社の選考を受ける学生からは、「社員が失敗したときどう接しますか」という質問をよく受けます。
そこでこの記事では、取締役の谷垣さんに「若手社員が失敗したときにどうするか?」を聞いてみました!若手社員の失敗をどう捉えているのか。失敗したことで評価は下がるのか?気になる方はぜひお読みください。
※谷垣さんはフィードフォースを卒業されました!
【シチュエーション1】新しいプロジェクトを任せたが、まったく成果が出ない
――さっそくですがひとつめのシチュエーションです。若手社員を新プロジェクトのリーダーに抜擢して任せたものの、成果がまったく出なかったとき。どうされますか?叱りますか?
成果が出ないことを責める理由がない
谷垣 いやいや、叱りませんよ。叱ったり、責める理由がありません。
まず前提として、新しいプロジェクトをひとりに丸投げで任せることはまずありません。方針を検討するときは壁打ち相手になり、その方針をチームで合意し、要所要所でふりかえりをしながらプロジェクトを進めるのがふつうです。これは相手が若手社員だからではなく、チームとして成果を出すために必要だからです。
チームとしてプロジェクトの方針に合意して取り組んでいる以上、その成果が出ないからといって個人を責める理由はまったくありません。
プロジェクトの失敗が即マイナス評価にはならない
――評価についてもお聞きします。叱ったり責めることはないにしても、成果が出なかったのだからマイナス評価になりますか?
谷垣 ひとつのプロジェクトがうまくいかなかったからといって、即マイナス評価にはなりません。
総合的な結果が振るわなかったとしても、プロセスで良い動きをしていたり、失敗の経験を活かして次に活かせればプラス評価になることもあります。
本気で取り組んだ失敗は成功に近づく
谷垣 そもそも、何か新しいことに挑戦するときに最初からうまくいくことなんてほとんどありません。仮説を立ててやってみて、うまくいかなければ検証して次の仮説に取り組めばいいだけです。
ひとつの取り組みで成果が出なくても、「この仮説ではうまくいかないことが分かった」という収穫を得られます。そう考えると、失敗のおかげで成功に近づいたともいえますよね。
ただし、失敗を次に活かすためにも、「やり切る」ことが重要です。同じ失敗でも、「本気で取り組んだ結果の失敗」と「なんとなくやった結果の失敗」では意味がぜんぜん違うからです。
やり切ることをせず、なんとなくやって成果が出なかった場合、「仮説がまちがっていた」のか、それとも「取り組み姿勢が悪くて失敗した」かの判断がつきません。これでは成功に近づかないので、本気で取り組む。やり切ることが大事だと思っています。
挑戦はノーリスクなのでどんどんやるべき
「やり切ることが大事」という前提のもと、社員にはどんどん新しいことに挑戦してほしいです。若手社員のなかには、「挑戦した結果の失敗がこわい」と考える方もいると思います。
しかし、仮に失敗したとしても評価が下がるわけではありませんし、叱られたり責められたりもしません。ほとんどノーリスクです。
新しいことに本気で挑戦すれば、結果がどうであっても成長の糧になります。その機会は多ければ多いほどいいので、どんどん挑戦してほしいですし、それを後押ししたいです。
【シチュエーション2】企画書のクオリティがいまいち
――次のシチュエーションです。若手社員の提出した企画書のクオリティがいまいちだと感じたとき、どうされますか?
企画のクオリティに苦しむのは成長のチャンス
谷垣 まず、企画のクオリティがいまいちなことを、「失敗」とは言わないですね。誰であっても、企画のクオリティに苦しんだ経験はあるはずですし、ぼくもいまだにあります。
企画に取り組むのが初めてだったり、力量より高い難易度の企画に取り組むときに、「クオリティがいまいち」と判断されることになると思います。でもそれは、これまでできなかったことができるようになる、成長のチャンスです。
企画のクオリティは慣れや経験による部分も大きいですから、経験が少ないうちはうまくできなくても当たり前です。
一生懸命つくった企画にダメ出しを受けるとヘコんでしまうこともあると思いますが、成長のチャンスと思ってめげずに取り組んでほしいですね。
抽象度の高い思考は一定以上の評価を得るために必須
――その企画を提出した社員の評価は下がりますか?
谷垣 ひとつの企画がいまいちだったことでマイナス評価になることはありません。ただ、一定以上の評価を得るには筋の良い企画をつくる能力が必要だとは思います。
シニア・リーダークラスの仕事を任せるには、企画立案のような抽象度の高い思考が必須になるためです。
若手社員から提出された企画書がいまいちと感じたら、壁打ち相手になったり進め方のアドバイスをしたりして、いっしょに良い企画にできるよう伴走します。
【シチュエーション3】ミスにより売上に悪影響が出た
――次のシチュエーションです。若手社員のミスによって、売上に悪影響が出てしまったケース。これはさすがに評価が下がりますか?
ひとつのミスが査定に直接影響することはない
谷垣 ひとつのミスだけを取り上げて直接査定にマイナス影響が出ることはありません。ただ、評価されるにはプラス要素が必要なのでミスがその後改善されていることや、他の成果を示す必要はあると思います。
もし、何度も同じようなミスが続いているようであれば、プロ意識の欠如ととらえられてマイナス評価になることはあるかもしれません。
個人のミスはチームの課題としてとらえる
谷垣 ただ、ミスをその個人の責任で終わらせることはしません。個人のミスはチームの課題としてとらえて、再発防止の仕組みを考えます。
また、人の手で仕事をする以上、ミスを完全にゼロにすることはできません。本人もミスしたくしてしたわけではないと思うので、個人を必要以上に責めないよう気をつけています。
【シチュエーション4】虚偽報告をした
――最後のシチュエーションです。若手社員が虚偽報告をした場合。例えば、お客さまからクレームを受けたにもかかわらずそれを報告せず放置していたとしたら、どうされますか?
マネージャーとしてかなしい気持ちになる
谷垣 まず心情として、かなしい気持ちになると思います。「なんでそんなことになってしまったんだ」と。
正常な判断ができないくらいに本人が追い込まれていたとしたら、自分がそれに気づいてあげられなかった、という意味でもかなしい気持ちになります。
あってはならないことで、評価はできない
谷垣 虚偽報告した社員を評価することは当然できません。そこから評価されるには、払拭するだけの成果や信頼回復のための期間が必要になると思います。
虚偽報告は、フィードフォースが大事にしているバリュー=行動規範のひとつである「チーム、ファースト」を大きく損ねる、重大な問題だととらえています。
個人の問題だけでなく、組織課題としてとらえる
ただ、虚偽報告せざるを得ないほどに本人が追い込まれていたのであれば、そうさせてしまった環境にも目を向けます。本人を責めるだけではなく、経営レイヤで議論するレベルの組織課題として受け止め、解決すべきことだと思います。
さいわいにもフィードフォースではこういう課題に頭を悩ませることはありませんが、もし起こったらと想像するとやっぱりかなしい気持ちになりますね。
編集後記
「新しいことにどんどん挑戦しよう」と言われても、失敗したときのことを想像して躊躇してしまうのはすごくよく分かります。失敗したとき、何か言われたわけでもないのに、誰かに責められているきもちになってしまうこともありますよね。
そんな方がこの記事を読んで、挑戦に対して少しでも前向きにとらえてくれたならとてもうれしいです。