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フルリモートワークを実践してわかったオンラインのチームマネジメントの課題と解決方法

この記事は主にビジネスサイドでオンラインによるチームマネジメントを試行錯誤されている・これからやる人に読んで欲しいです。改めましてフィードフォース岡田風早です。プロレスもサッカーも試合が行われず寂しいですが、今の危機的状況を乗り越えた先のオールスター戦が楽しみです。

弊社も緊急事態宣言発令の翌日4月8日よりリモート推奨から原則リモートへ切り替え、主にリモートワーク(テレワーク)をしていたエンジニアだけでなく、ビジネスサイドも含め全員フルリモートワークになりました。以前から週1〜2日でのリモートワークを社内で進めていた事が結果的に準備期間となり、フルリモートへの切替は大きなトラブルもなく比較的順調に進められた印象です。

リモートワークに対して後手にまわっていたビジネスサイドとしては、「在宅勤務における備品購入支援」により自宅の作業環境が整い、以前から利用している Slack・esa・Unipos・Trello・Salesforce・Zendesk がベースとなり、新たに Zoom や Google Meet などのWEB会議ツールと Amazon Connect (IP電話)の導入により、業務を行うという視点で言うと出社時とほぼ同じ事が出来るようになりました。

自分が関わる業務の中でも一番適応に苦慮しているのがオンラインでのチームマネジメントです。会社全体で試行錯誤しながら少しずつ良い形になっている感触はありますが、会社出社時と同じレベルにはまだ達していません。

オンラインでのチームマネジメントを実際にやってみてわかった課題とその対処方法をまとめました。概念的な話で終わらず、どんな対処をしたか具体的に書きました。

オンラインでのチームマネジメントが成立する大前提

まずはじめにオンラインでのチームマネジメントが成立する大前提を書いておきます。これは単純明快で「性善説が通用する」組織である事です。

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目が行き届かないリモートワークなので「サボらないように監視する」「サボれないルールを作る」という発想が生まれた時点でリモートワークには向いていません。基本的にメンバーは自分一人の環境でも業務を遂行する、という前提がない限り、パフォーマンスとモチベーションは下がり、全員が疲弊する事になるでしょう。

リモートワークでのマネージャーの役割として、メンバーが不慣れな環境でも100%に近い能力を発揮できる環境をチームとして作り出す事の比重が大きくなります。プレイングマネージャーは慣れるまで厳しいと思いますが、思い切ってマネジメントに振り切らないとチーム全体が機能しなくなる可能性もあります。

約3週間フルリモートワークを経験してみてリモートワークを機能させるには「性善説が通用する」組織である事、マネージャーは可能な限り「マネジメントに振り切る」事が重要だと感じました。

ここからは実際にフルリモートワークをやってみて気づいた課題と解決方法になります。

チームメンバーのコンディション把握

まず最初に課題と感じたメンバーのコンディション把握です。出社時は朝会をやり昨日やった事、今日やる事をチームで共有してました。メンバーの顔も見えるし声も聞けるので、コンディション把握は全く問題ありません。フルリモート初日は Slack に昨日やった事と今日やる事を書き込むだけにしたのですが、コンディション把握は全くできません。

これは良くないなと思い、2日目からは Zoom で朝会をやるようにしました。

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準備も含めより効率的にできるように、既に開発チームでは運用されていたチャットボットを使って朝会が始まるまでにチャットボットへ特定の質問を答え、答えた内容が Slack のチャンネルへ自動投稿される形にしました。

朝会BOT

加えて Zoom で新規ミーティングを繰り返し設定で作成し、Slack のリマインドで朝会の URL を自動投稿するようにしました。これで毎回誰かが新規作成したり、URL を探したりという一連の手間がなくなりました。

リマインド自動化

オンラインでの朝会を実施し、顔も見えて声も聞けるようになり出社時と同じようにコンディション把握ができるようになりました。これは出社時に行っていたことをオンラインに移行した事になりますが、体調はなかなか言葉にしづらいので、5段階のアイコンでチームに共有するやり方はわかりやすいですね。

チームメンバーの進捗把握とサポート

チームメンバー全員がすぐにフルリモートへ適応できるわけもなく、物理出社時と同等のアウトプットや行動量を保つのは難しいと感じました。「ちょっといいですか?」というような軽いコミュニケーションがなかなか生まれず、全ての業務のスピードが落ちていました。

フルリモートにも少し慣れてくると Slack 上での質問の頻度が上がり始めたのですが、基本マルチタスクのビジネスサイドでは実業務と Slack を行き来するスイッチングコストが物理出社よりも高く感じました。口頭で補足ができないので普段より丁寧に書くようになる事と、表情が見えないので言葉選びに慎重になる事がコスト増の要因です。

このあたりでマネジメントに振り切らないとマズいなと思い、Slack 上での質問・発言の敷居を下げられるようにリアクションや返信のスピードを意識的に上げました。加えて、返信に気付きにくい環境になったので極力メンションをつけたり、リアクションだけでなくスレッドでリアクションするようにして受け手が気付きやすくなるよう意識しました。

リアクション

マネージャーから反応や返信がないとメンバーはより不安になったり業務の進みが遅くなる事は想定できたので、とにかくチームファーストを意識してチームがワークする方へ自分のリソースを投下しました。

ただし Slack 上でのテキストでのコミュニケーションには限界があるので、会話の方が早い場合は Zoom を立ち上げて会話をする事でコミュニケーションのスピードを物理出社とほぼ同等まで引き上げられました。次の項でも記載の通り Discord をテスト導入した事でライトな会話であれば Zoom を立ち上げる煩わしさもなくなりました。

進捗把握については、チャットボットの導入により朝会での前日やった事・今日やる事の共有の精度が高まりました。出社時よりもマネージャー側は進捗確認する意識を高めたほうが良さそうです。

チームメンバーの良かった対応は出社時と変わらず Unipos で社内へ共有します。

自チーム2

もちろん他チームのメンバーが協力してくれた際の感謝も出社時と同じく Unipos で社内へ共有します。

他チーム

なるべく関係する多くの人の目につくよう、ブラウザからではなく該当者が多そうな Slack の channel へ Slack コマンドで投稿するようにしていいます。そうすることで Unipos channel と該当の channel の両方に投稿が表示されます。

チームメンバーとのコミュニケーション

1on1については会議室が足りない問題とは無縁になったので、必要に応じて新しいメンバーの頻度をコントロールするくらいで済みました。

その反面業務以外のちょっとした雑談をする機会は圧倒的に減りました。朝会の終わりに少し話したりというのはありますが、リモートワークでは気軽に話しかける事が難しく、何か質問がありZoomで繋いだ場合1対1の会話になり、出社していればまわりに居るチームメンバーも会話を聞けたり、必要に応じて参加できます。

この課題を解決するために TandemDiscord をトライアルしています。基本音声に特化して、気軽に話かけられるという点はどちらもクリアしています。

Chrome で開いていると PC のファンが回り出すので Zoom 同様アプリを常駐させる形で使っています。 私のチームは Discord を試していて、人の音声が被ってもクリアに聞こえる点は気にいってます。Slack・Zoom・Discordと複数のツールの行き来があるため人によっては慣れるまでに時間がかかるかもしれませんが、慣れると普通に出社している感覚に限りなく近づいている実感はあります。

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実際の会社と同じ部屋割りにする事で誰がどこに居るかはイメージしやすく、一旦割り切っていた他チームとのコミュニケーションも少しずつ取り戻せそうな感触はあります。また同じ部屋にいる人は他の人の会話を聞けるので、Zoom だと分断されてしまう業務的な会話をながら聞きする事で、自分にとって必要な会話であればすぐに参加できたり、単純に聞き流すだけでも知識の補完になる事もあるのがメリットです。

メンバー視点の記事をこちらをどうぞ。

これから取り組むべき課題

Navigator と呼んでいるノーレイティングかつメンバーの成長を支援する評価制度については以前記事にしています。

フルリモートでチームマネジメントをやってみて、この取り組みをさらにアップデートできる可能性を感じています。セールスを例にすると、今までデータとしての扱いに苦慮していた電話と商談を含めたミーティングが、IP電話やオンライン会議システムによりデータ化できるようになる事です。またオンラインでの商談を受け入れてもらえる環境になったので、移動時間を別の商談に置き換えたり自己学習やチームでの打ち合わせに使えるようになった事も大きな変化と捉えています。

セールスの働く時間の割合の変化

データ化するにあたりお客様に許可をいただく事は前提として、我々が知りたい事はメンバーが8時間ちゃんと働いたかではなく、どれだけアウトプットを出せたのかとうまくいってない時のアラートです。例えばセールスであれば売上というわかりやすい指標があり、その指標を達成するための行動量を計る指標があります。

メンバーの行動がより詳細にデータ化できると、お客様に対するアクションや自分が成長するためのアクションがどのような形で最終的な指標に影響しているのかの解像度がぐっと上がります。つまり成功事例から成功した要因がより明確になり、成功体験の再現性が高まる事で、マネージャーの最大の責務であるチームのアウトプットの最大化が今よりも良い形になる気がしています。

成功事例の再現性と同様に、結果が出ていない場合に行動量や対応品質など複数のデータの視点から今よりも事前に危機を察知できるようになるはずなので、努力が実る確率が高まります。課題というよりは挑戦ですね。

最後に一番重要な事

自分自身のコンディション維持ですね。移動がないので歩かない・食生活の変化・仕事を終えてもすぐに仕事に戻れてしまう、挙げればキリがないのですが今までとは環境が全く違います。

そんな中、チームマネジメントで気を張っていると普段以上に疲労が蓄積していきます。私もフルリモートを始めて初日と2日目の疲労が凄まじかったのは覚えています。幸い自宅には椅子も机も会社より良いものがあったので肩凝りや腰痛は回避できましたが、日に日に疲労が抜けにくくなったので、毎朝起きたらポストを見に行くついでに外の空気を吸う、約10分のストレッチと窓を開けて換気、陽を浴びるをルーティーンに組み込みました。少し慣れた今でも1日の疲れ具合は今までよりも大きく、特に疲労が抜けきらない金曜日をどう乗り切るかは自分にとっての最重要課題です。

個人的には以前のような仕事のやり方には戻らないだろうなと思うので、いろいろなツールを活用してオンラインでのチームマネジメントを物理出社時よりも良い形へアップデートしていきたいと思ってます。

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※文中に登場する各種ツール・制度は執筆当時のものです。

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