「怒られるほうが楽かもしれない」自主性を重んじる会社だからこその厳しさ
「上司から怒られることはなく、自主性を尊重して仕事を任せる社風」と聞くと、多くの方は働きやすいと感じると思います。
しかし、「怒られないからこその厳しさもある」と2019年新卒入社の上岡さんは語ります。自主性を重んじる会社の、「怒られないからこその厳しさ」とはなんなのか。話を聞いてみました。
リーダーに抜擢されて挑んだプロジェクトは失敗。後から気づいたチャンスの大きさ
——さっそくですが、上岡さんは若手のときにある失敗をしてしまったとか。何があったのでしょうか?
上岡 セールスをしていた新卒2年目のとき、新しい営業手法を模索するプロジェクトのリーダーを任されたんですが、うまくリードできなかったんです。
当時はセールスとして、順調に受注を獲得してうまくいっている時期でした。そんなタイミングでマネージャーから、「上岡、やってみないか」と言われて、受注単価向上を模索するプロジェクトのリーダーを任されたのですが……。
結論から言うと、忙しさを言い訳にしてチームをうまくリードできませんでした。結局、そのプロジェクトは十分な成果が出ず、ぼくはリーダーを外されました。
——与えられたチャンスをうまく生かせなかったんですね。そのとき、どう感じたのでしょうか?
上岡 実は、うまくいかなかった当時は特に何も感じなかったというか、「自分にやれることはやったし、他の業務で忙しかったし仕方ないか」と捉えていました。
しかし、いまふりかえって考えると、「大きなチャンスを逃してしまった」「あのときもっと真剣に取り組んでいれば」と後悔の念がこみあげてきます。
自主性を重んじる風土だからこそ、自らを奮い立たせなければいけないと気づいた
上岡 今こうしてふりかえると、当時のぼくが「特に何も感じなかった」ことに危機感をおぼえています。
野球で例えると、チャンスの場面に代打で登場して、凡退したのに何も感じない、みたいな異常事態です。「上岡、お前チャンス逃してるぞ、ヤバイぞ」と当時の自分に言ってやりたいです。
――なるほど。当時は気づかなかったけど、振り返ると「大きなチャンスを逃した」と感じたんですね。
上岡 はい。ぼくは高校まで野球をしてきて、ミスをすれば怒られるのが当たり前だと思っていました。だけど、先ほどのプロジェクトが失敗したとき、誰もぼくを責めたり怒ったりしなかったんです。
これは本当に当時の甘かった自分を叱ってやりたいのですが、「怒られなかったからいい」ではないんですよね。
フィードフォースは「チーム、ファースト」を掲げていて、個人のミスを責めることはなくチームの課題として受け止めます。だから、ぼくがうまくリードできなくても怒られず責められなかった。ぼく自身がそのことに甘えてしまっていたんだと思います。
体育会系で育ってきたぼくにとっては、いっそ怒られたほうが楽だったのかもしれません。けれど、自主性を重んじるフィードフォースでは誰に言われるでもなく自らを奮い立たせて挑戦しなければならない、とようやく気づけました。
社内競争がないからこそ、自分で自分をモチベートする必要がある
——成長したいという強い思いがないと、自走は難しそうですね。
上岡 確かにそうなのかもしれません。
厳しく叱られないというのもありますし、新卒入社した同期がみんな別の仕事をしているので競争が見えにくいというのもあると思います。
――同期が別の仕事をしていると競争が見えにくいものですか?
上岡 はい。たとえば同期が100人いて、みんな同じ職種で働いていれば、1年後に誰がいちばん売上をあげたか?といった同期内の序列が分かりやすく出ます。そういう競争が刺激になってがんばれるという人もいると思うんです。
しかし、ぼくの同期は6人だけで、しかも全員が異なるチームの異なる職種についているので、そういった分かりやすい競争はできません。
社内での分かりやすい競争がないからこそ、自分で自分をモチベートすることが大切なのかもしれません。
よりたくさんの「誰かの役に立てる」ことが成長のモチベーション
——お話から、上岡さんは自発的な努力をつづけているように見えます。そんな環境下で上岡さんががんばれるのはなぜなんでしょうか?
上岡 確かに、マネージャーや先輩から「努力しろ」とは言われないですね。「こういう努力をしたほうがいいよ」と薦められることはあっても強制はされません。
強制されないけれど努力をつづけられる理由は、ぼくが仕事をすることで、「誰かの役に立つ」こと。もっと言うと、「誰かの役に立てる自分になれる」ことが強いモチベーションになっています。
例えば、休日に本を読んだり自己学習して、できることが増えたとします。すると、その増えた「できること」でより多くの「誰か」の役に立てるはず。そう考えると、努力も苦になりません。
とはいえ、マネージャーや先輩社員は日々のインプット量が尋常じゃなく多く、まるで呼吸するように努力をしている人が多くいます。そんな方々に比べればまだまだですが、少しでも近づけるよう、がんばりたいと思います。
——努力するもしないも、個人の自主性に委ねられているわけですね。
上岡 そうですね。日々努力して知識やスキルを身につけ、アウトプットしている人には、相応のチャンスが回ってきて、+αの挑戦がしやすいと思います。
逆に言えば、「努力は自主的に行うもので強制されない」環境が苦しいと感じる人もいるかもしれません。努力しなくても怒られず、かつてのぼくのようにチャンスを逃したことにも気づけないわけですから。
また、自主的な努力を継続的に行う社員がいるので、そういう人に囲まれることを良い刺激ととらえられる人には良い環境ですが、プレッシャーと感じてしまうとつらい思いをしてしまうかもしれないですね。
ぼく自身は、呼吸をするように努力をつづける先輩社員から刺激を受けながら、またぼく自身が後輩の刺激になれるように、これからも努力をつづけたいと思います。
(インタビュー・文:宮原 智子)