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半年に1回の評価制度を毎月の評価制度に変えた話

フィードフォース岡田風早です。
人生で4回目の尿管結石を迎えていますが元気です。
現在ソーシャルPLUSのプロダクトマネージャーを引き継ぎ中で、並行して組織作りにも注力しています。

評価制度を変えたきっかけ

私がフィードフォースへ入社した4年前は、GEの9ブロックを参考にした半年に1回の評価制度でした。
経営企画会議の中で、テクノロジーの進化スピードが著しい中、半年に1回の評価のスピード感では遅いのではないだろうかという議題があったり、セールスチーム・マーケティングチームという職種軸のチーム構成をサービス/プロダクト単位のチーム構成に変えた事をきっかけに評価制度を見直す事になりました。

新しい評価制度となった Navigator は継続的なアップデートは必要なものの、結果的に評価する側のマネージャー・される側のメンバー共に納得感のある成長支援も兼ねた評価制度になったと思うので、評価制度の見直しを検討している方達の参考になればと思い記事にしました。

過去にSELECKさんのインタビューや、最近では産労総合研究所さんの「企業と人材」にも取材を受けて2019年11月号にて弊社なべはると共に掲載されてますのでそちらも是非ご覧ください。

企業と人材

半年に1回の評価制度の課題

基本的に一般的によくある評価制度は、評価する側の都合を考えられた形になっています。
今まで複数の会社で働いてきた経験から、マネージャー・メンバー双方の視点で考えた結果、大きく分けて下記の3つを課題として認識していました。

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順番に詳しく説明します。

1. 仕事の成果が出るタイミングと評価のタイミングのズレ
例として、評価のタイミングが6月と12月だった場合、自身の仕事の成果が出るタイミングが7月だった場合、12月までの5ヶ月も待たないと評価されません。せっかく成果を出したのに少し損した気分になってしまうのは制度の歪みだと思ってました。

2. 評価基準がマネージャーのブラックボックスになりがち
評価基準が明文化されていない場合、マネージャーが何をもって評価したかが、評価のタイミングにならないとわかりません。そのため、本人としては結果を出したつもりでも主張の機会は無く、マネージャーから「もうちょっとだったね」などと一方的に結果だけ伝えられる事態が起こり得るため、マネージャーとメンバーが信頼関係を築きにくいと思ってました。

3. 抱える部下の人数が多いとマネージャーの負担が大きい
マネージャーは抱えるメンバーの人数が多ければ多いほど評価への負担が大きくなります。例として10人のメンバーを部下として抱えている場合、半年ごとに10人分の振り返りを同じタイミングでするというのは非常に負担が大きいです。また、時間軸の関係で、直近に成果を上げたメンバーが、他のメンバーよりよく見えてしまう確率が高いという問題も生じるため、メンバー視点では評価への納得感が高まらないと思ってました。

3つの課題を解決する

評価制度の見直しにあたり、すぐに実現出来る出来ないは抜きにして、下記の2つを実現出来れば想定している課題は全て解決出来ると思いました。

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こういった事は考えたとしても、組織が大きかったり、経営層が現状維持を続ける事に危機感を持ってなかったり、そもそも評価制度自体にそれほど興味を持ってくれない等、制度を変えるには至らないケースがほとんどだと思います。

フィードフォースは当時50〜60名ほどで、制度を変える事が現実的に可能だと思える規模感だった事、社員のみんなも協力的だった事、また経営層も現状維持に危機感を持っていたため変化に対して後押ししてくれた事で実現に向けて動き出せました。人事ではない自分にチャレンジさせてくれた会社とサポートしてくれた社員に感謝です。

評価基準を明確にする

評価基準を明確にするために、職種毎のキャリアパスを作成する事にしました。一番意識したポイントはメンバーが納得感のあるキャリアパスである事です。また評価する基準というよりは、メンバーが次に目指す目標をマネージャーと共有出来ることを作成の目的としました。

WEB上で公開されていた他社のキャリアパスを参考にしつつ、まずはエンジニアにフォーカスして進めました。下からジュニア・メンバー・シニア・エキスパートと大きく4つの等級に分けて、仮の年収レンジをはめ込みました。等級のAとBの違いは、Bは半分くらい出来る、Aはほぼ全て出来るという分け方です。

例) SaaSセールスのキャリアパス

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シニア以上のレベルであろうと想定したエンジニアに協力してもらい、このくらいの年収であればどんな業務をこなせるべきか、どんなスキルを身につけているべきかなどを付箋に書いてもらい、付箋の内容をベースに4回ほどのMTGで全体的なレベル感の調整して明文化していきました。ジュニア・メンバーはより具体的、シニア以上はより抽象的な内容になっています。

マネージャーが作成するトップダウンではなく、現場のボトムアップの意見により明文化したことで、現場としても納得感のあるキャリアパスが仕上がりました。全職種作成するまでに約半年かかりました。

評価基準となるキャリアパスを作成した事で、メンバーは足りないスキルや新しく挑戦するべき業務が明確になり、毎月の1on1の中でマネージャーがメンバーの成長を支援する体制がとれるようになりました。マネージャーが評価する立場から支援する立場になり、評価に関するブラックボックスもなくなり、良い信頼関係が築ける土台となりました。

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ただし運用して気づいた新たな課題としては、定期的なキャリアパスのアップデートが必要だが追いつけていない事と、会社としてマネージャーの支援が十分に出来ていない事です。

毎月の評価にする

毎月の評価と言っても、毎月全員分の評価をする事は現実的ではありません。
そこでキャリアパスを作成する前提で、一定の評価基準を超えたメンバーだけを評価する事が出来れば、毎月評価を行う事も可能かと考えました。

一定の評価基準を超えたメンバーをマネージャーが次の等級へ推薦する、もしくは自分自身で次の等級へ自己推薦して、社長・役員・直属のマネージャーを含めた5名に対して、そのメンバーが自分の成果をプレゼンする等級審査という仕組みにしました。

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課題だったマネージャーの負荷を分散させ、かつメンバーは自分自身で成果を主張出来る機会を持つ事が出来ました。運用を開始した時点では毎月何人の評価をする事になるかわかりませんでしたが、2018年1月から続けてきて、月にだいたい1人〜5人の等級審査があります。

新しく生まれた課題としては、通常の業務時間内では審査する側の予定を抑えるのが難しいケースがたびたびでてきました。通常は10時出勤なのですが、審査をする社長・役員には9時に出社してもらい等級審査の時間を確保しています。

スケジュール調整については手動の運用になっているので、このあたりは改善の余地を多いに残しています。組織がさらにスケールする事を前提にしたオペレーションの改善が必要だと思ってます。

実際の評価はどのように行なっているか

何度か変更はしたものの、一連のスケジュールは下記で運用が落ち着いています。
GWがある5月と年末年始を挟む12月のみ変則的なスケジュールになります。

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等級審査の受付期間に Google Forms から申請が出来ます。 Google Forms に投稿された内容はSlackのシークレット channel へポストされるので、ポスト内容を確認して審査員を決めて、プレゼンをする等級審査の日程調整を行います。等級審査後の判定会議の日程調整も合わせて行います。

プレゼンするスライドはキャリアパスの項目をベースにしたテンプレートを用意していますがカスタマイズOKです。プレゼン時間は最長で30分で、プレゼン後に審査員からの質疑応答があります。

社長や役員へプレゼンする事に緊張するメンバーも多いのですが、それ以上にプレゼンに対する明確なフィードバックが返ってくる事が、メンバーのさらなる成長に繋がっています。

評価の基準にはスキルやサービス/プロダクトへの貢献、バリューを体現した具体的な内容など、全部で7項目あり、7項目を◎×で評価し、判定会議を経て良かった点と改善が必要な点がマネージャからフィードバックされます。

余談ですが、バリューを新しく見直した話もあるので、また改めて記事にしたいと思います。

最後に

この仕組みがうまく回る大前提は、性善説が通用する組織です。

みなさんは今働いている会社の評価制度について満足していますか。
私は中途採用の面接をする機会が多いのですが、現職の評価制度への不満を聞く事が非常に多いです。

会社にとって一番大切なものは間違いなく人なので、単なる評価制度ではなく、成長を支援する環境作りとうまく組み合わせる事が出来ると、今よりも働く事が豊かになると思います。

弊社は人材の会社でもなく、コンサルティングの会社でもありませんが、自社の評価制度の見直しに悩まれていましたらお気軽にご相談ください。アドバイスをしながら自分の脳内の整理を行うと共に、違った環境からの客観的な意見を踏まえて自社制度の更なるアップデートに関するヒントが得られればと思ってます。

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